[最近の物価とオージー生活]

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我々がキャンベラに降り立ったのは 2 年前です. 初めのころは, 日本円の豪ドルに対する強さ(1 ドル= 60−70 円)のせいで目がくらみ, いろいろな物の値段を日本円に換算しては「アレまあ, 安いねえ」と言っていました. 実際, オーストラリア製品は物価が超安のように見えました.

しかしです. その感覚はオージーたちの実感に当てはまるでしょうか? 物価と言うのは, その国の生活水準(収入)に比例しているので, 物価が安いと言うことは, 収入も低いと言うことです. 可処分所得を豊富に持っているのは, 日本のような恵まれた先進国の一部に過ぎませんから, オーストラリアの一般家庭の生活は, 生活必需品の物価は(日本に比べれば)安いが, 自由に動かせる余裕分のお金も少ない, と言うことになります.

オージーで 5 万ドル収入があればよいほうだと思います(平均は 4 万ドル行かないと思う)が, これって日本円で 350 万円です. いまどき, 大学生の新卒でもこのくらい貰えそうですよね. 日本の平均給与からしたら半分くらいでしょう. そこから所得税(20−30%)が引かれ, Medicare のお金を支払い... となったら, 手取りで 3 万 5 千ドルそこそこかな. 月収が 3 千ドル(20 万円)もあれば恵まれたほうです.

こちらの人は家にお金をかけるので, 家のローン(25 年返済が標準)が収入の 3 分の 1 なんてこともざらです. 賃貸は賃貸で結構値が張る(2−3 ベッドルームで週 200 から 300 ドル)ので, こちらもまた収入の 3 分の 1 から 4 分の 1 は必要です. 賃貸で借りながら家の頭金を貯める... と言う苦境の状況を数年以上続けて, オージーはやっと初の持ち家を購入(First home buyer)します. 日本のように交通費や家賃補助と言う考えがないので, この分も出費がかさみます.

「交通費は出ないが車は必需品」と言うお国柄ですが, 必需品の車も新車はなかなか手が出ません. だって安くても 2 万ドル近く行きますもん. それで中古車をあれこれ新聞紙上や中古マーケット(ベルコーネンマーケットの隣でも土日にやっている)で探し回ります. もちろん車の知識も修理の腕もなければ, 余計費用がかさみます.

この 2 年間の物価変動を見ていて思うのですが, 10% GST のかからない食品でも少なく見ても 10 %以上値上がりしていると思います. バターは 3 割, トマト缶は 2.5 割, パンは 2 割弱値上がりしています. 一番上昇が激しいのは, シドニーに追随してか, 住宅です. 家の値段は 2 年前と比べて 5 割増の勢いです. 特に周辺地域の手ごろな物件が値上がりを続けていて, 先に書いた First Home Buyer は今では 2 ベッドルームのタウンハウスにするか, 20 万ドルも出しても郊外の離れた地域にしか 3 ベッドの家は買えません. First Home Buyer は特別に(現在のハワード首相の政策で)一万ドル(だったと思う, 最近改定されたので詳細は不明)の購入手当金 First Home Buyers' Grant がもらえるのですが, そんなグラントよりも値段の上昇率が高くて, 若い人が買える物件は限られます. 更に悪いことに, シドニーやメルボルンから来て「まあ安い!」と, ポンと買っていく人が結構いるので, 値がつりあがります. うちは 3 ベッドルームの家を一年前に 19 万ドルで購入しましたが, 今ではこの地域では同等の物件は 20 万ドル台前半では買えなくなってしまいました.

自分の家の値が上がる!というのは, 一見良いように聞こえるかもしれませんが, そうではありません. 「何件か所有していて, 投資用に購入して転売して儲ける」と言うなら話は別ですが, 家の税金はマーケット価格に比例して上がりますから, 持ち家一軒だけの人は税金が上がるだけです. 政府は税収が増えてウハウハ喜ぶでしょうが, そこで生活している者はうれしくないです. 我々の家の売主は, 30 年前の値段の 6 倍で売れてうれしかったようですが, さてそれから自分達が隠居用に住む小さ目の家を探す段になってぶつぶついってましたもん. 「なんて家が高くなったもんだ」って. 儲けて喜べるのは, 政府と, 2 件以上所有できる金持ちだけです.

じゃあ, オージーの生活が貧乏で惨めかと言うと, そんなこと全然ありません. 楽天気質 No Worries にくわえて, お金をかけずに遊ぶのが上手ですもん. 豊かに楽しめる公園やスポーツ施設, 自然も一杯です. 何もなくても OK,お散歩にブッシュウォーキングも盛んです. てくてく歩けば目を楽しませてくれる庭庭や, 少し外れればカンガルーにだって出会えます. 地区の芝の広場 Oval でサッカーやオージーフットボール, クリケットも盛んです. 川や湖にも泳ぎに行くのはすぐですし, 天気の良い日に公園にピクニック用具一式持って一日のんびりする家族連れも多いです. バーベキューだって無料で出来ます.

ビーチで遊びたければ, キャンベラから日帰りでシドニーでも, コースト Batemansbay でも行ってこれます. キャンプ用具があればなおよし, 何日もかけてキャンプをして回れます. キャンプ場はあちこちにあり, キャンピングカーを所有して, 気に入った一箇所に 3 日とか一週間いる人もいます. 友人のジェニー夫妻は, 混んでいない最高の季節を見計らってよく 2 週間とかキャンプに行っています. 彼らは年金生活なので実際の収入は我々よりもずっと少ないですが, ガーデニングを楽しみ, 豊かに暮らしているように見えます.

19 February 2002


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