1. 輸入編
私達が独立永住権を取得してしばらくしてから考えたのは「車をどうしようか?」でした. その当時で我々の愛車はすでに8歳を超えていたので,
普通の日本の感覚からすれば廃車するのが常套なのでしょうが, うちの HONDA のシビック君は, 親が譲ってくれたもので(というか,
彼らが新しい車を購入したかったので, 私達に流されてきた), 「白の限定車」という何の変哲もない外観ながら結構気に入っていたのです.
私は身の周りのものにすぐ愛着を感じてしまう性質で, それまでも, 同じ車をしつこく乗り回すのであきれられていました. いろいろ調べていくと,
永住権保持者は関税なしでオーストラリアに車が持ち込める(注;以前はそうだったが現在は車の価値の50%ほど税金を払わなくてはならない)
という情報に行き当たったので, やってみることにしました.
まず取っ掛かりは, オーストラリア側からの必要書類を手に入れることでした. もうそのころではお馴染みになっていた, 東京のオーストラリア大使館に手紙をしたため, 最初の書類を送付してもらいました.これはキャンベラにある運輸局 Department of Transport & Regional Services GPO Box 594 Canberra ACT 2601 が管轄するもので, キャンベラから直接取り寄せることもできます.
永住権保持者は, いろいろな枠の中のPersonal Importというカテゴリーに入ります. 送付されてきた申込書に必要事項を書き込み, 必要書類(1)ビザコピー(2)購入証明(英訳付)(3)領収書(英訳付, 売主の ID 明記)(4)車検証(英訳付)(5)パスポートの渡航経歴と ID コピー, 50ドル分の経費を添えて送付します. 経費は国際小切手で送ることもできますが, クレジットカード番号を書き込むだけでも OK です. (2)(3)(4)の英訳は, 別に業者に頼まなくても, 自分で英訳したので OK でした. ただしこの3つとも, コピーではなくてオリジナルを送ります. 車を個人輸入するには, 本人がその国 [日本] で3ヶ月以上所有していないとできません. 私の車は親から貰ったもので購入証明がなかったので, 知り合いの車屋さんに頼んで当時の市場価格に沿った領収書を書いてもらいました.
これだけの書類をキャンベラに送付して待つこと1ヶ月あまり, 届いたのが「貴君のホンダシビックの輸入を許可する」 という許可書のコピーでした. そう, オリジナルではなくて, コピーなんです. 運搬されてきた車をオーストラリア側で受け取るには, コピーでは何にもならないので, 戸惑いました. よく読むと, 「貴君のオーストラリアにおける住所をこちら DTRS に知らせれば, その住所に4枚つづりの正式な通関書類を送る」と書いてありました. そうです, 日本にいる間に直接書類を受け取ることはできないのです!! 渡豪が近づいており, 慌てた私は, 知り合いになっていたシドニーの APLaC の田村さん (お気に入りサイトに入っています)にお願いして, 彼らの住所で4枚つづりの通関書類を受け取ってもらいました.
その間日本側で, 車の送り出しの準備です. 最初は, 日通さんや海外引越しサービス各社に問い合わせていたのですが, あまりの経費の高さ(45万とか!)に驚愕し, 個人ものを運搬してくれる運送会社を探しました. だって, 車の本体の価格がせいぜい20万円なんですもん. たかが運搬に45万なんて出してられませんわ. 私は愛知県在住だったので, 名古屋の業者に問い合わせ, ぎりぎりにやっと「名港海運」さんを見つけ出したのです. 担当の水谷さんが親切な方で助かりました. 船会社運搬料8万円弱, 運送会社手数料2万4千円で, 無事送り出せることができました. 自分で日本側出航・通関のための Invoice を書き, 港の車置き場まで運んでプレートをはずし, その足で運輸局に廃車の手続きに行きました. オリンピック半年前だと言うのに船積みが強烈に混み合っていて日程が定まらず, 船積み日は日本を発つ最後まで分からずじまいでした. 心配だったけど, しょうがない, 分からんものは分からんのだ!?と腹をくくりました.
オーストラリアについた後, アパート探しでてんやわんやしている間に日本に連絡を取り, 車のシドニー港到着予定日が分かったのは, 到着1週間前のことでした. 悪いことに, 到着日は4月20日で, 4月22-25日の間は, オーストラリアは日本のゴールデンウィークのような大型連休に入ってしまい, その間に手続きをするのは無理そうな雲行きでした. もちろんオーストラリアですもの, 休みはしっかり休みます! 連休明けはもう水曜日なので, 水木金とその週は3日しかなく, その週中にシドニーでの手続きを終わらせたかったら, 速攻3日間で終えなくてはなりません. 港に3日以上置いておくとペナルティをかけられると言うことも気になりました. 300キロ離れたキャンベラから子連れでそれも夫を置いて出向いているのですもの, そんなに週をまたいで長居はできません. というわけで, 22日の早朝から行動開始!ができるように, 21日に子供を連れて私達はシドニーに向かいました.
キャンベラからシドニーに向かう電車は日に3本しかなく, 連休中で込み合っていることもあって, 朝の6時50分発の便しか席が取れませんでした. しんどかったです, 朝の5時半, 子供をせかして仕度させるのは. それまで2週間ほど借りていたレンタカーを早朝6時に返却して, その足で40分歩いて駅へと向かいました. 手足のしびれる霜の降りた夜明け前でした. 「おててが痛いよう」と泣く子供を横抱えにして歩きました. 出発5分前に駅に到着し, 300キロを4時間以上かけて!?旅し(途中, 車内から2度ほどカンガルーの群れを見つけ, 二人ともおおハシャギでしたが...) ぐったり疲れてシドニーセントラル駅に到着しました. 宿を予約していなかったので, 格安ホテル数件に電話をかけ, 悪名高きキングスクロス近くに宿を見つけて落ち着いたのは午後になってからでした.
KAZUさん(お気に入りリストに入っています)も書いて見えますが, 車の輸入を個人でする場合は, 多くの人が, 通関から自宅配達までを業者に委託すると聞きます. だって超面倒くさいですもん, それぞれのお役所が離れていますし, お互いに連携も取っていないし, アポをいちいち取らなくてはいけないし... やっと窓口まで到達したかと思ったら, 「今日はスケジュールがいっぱいなの, 明日の午後なら何とか入れてあげられるわ」なんていわれて, 思わず「ふざけるなー!」と叫びたくなります. 私は通関業者には頼みませんでしたが, 前述の APLaC さんに, サポートサービスをお願いしました. 22日の朝に, あらかじめAPLaCさんで預かってもらっていた正式の4枚つづりの書類を田村さんの代行の加藤さんから受け取りました.
《4月22日水曜日》
まず, 22日の早朝から, 運送会社に Delivery Order を取りに行きました. 私の車を運んでくれた会社は日本郵船の系列でシティに支店がありました.
そこで80ドルあまり手数料を支払い, Delivery Order を受け取りました. 今度はこれをもって, 関税を払いに税関の出張所に向かいます.
Customs の事務所はシティにあるのですが, 朝行った時点で「今日はだめ. 明日ならできるかも...」といわれ, 「そんなあ, キャンベラからわざわざ泊まりでこれだけの為に来ているんです. 何とかなりませんかあ...」と泣きついたら, しばらくスケジュール表を眺めた後で「じゃあ, 今日の2時過ぎに入れてあげるから, そのときいらっしゃい.」といってくれました. でも, とっても暇そうだったんですよ, その事務所. 連休明けでボヤーっとボケてる感じでした. そして, 午後まで待ってまたそこに出向き, 4枚つづりの書類の一枚とデリバリーオーダーを渡しました. 係の人は何だかんだと計算をはじめ, お定まり通り購入価格の50パーセント弱の関税を支払いました. 私の場合は, 1500ドル近く関税に払ったことになります.
《4月23日木曜日》
次が検疫の事務所です. ここですでに2日目に突入していました. 4枚綴りの2枚目はここで渡します. 前日の税関の事務所は,
チャイナタウンの近くのシティのど真ん中にありましたが, 今度のは, 港の方の離れたところにありました. そこでしばらくまた順番待ちをして,
また手数料を支払い(80ドル)3つ目の関門を突破しました. ここでやっと, 実際の検査と洗浄を港で待っている愛車に会えることになります.
しかし, グリーブの車置き場での検査は翌日までアポが取れず, その日はまたここで終わりでした.
余談ですが, 2日目は午前中でやることがなくなってしまったので, シャーないなあと, 私と子供はシドニー観光に出かけました. 子供が船に乗りたがるので, フェリーに載ってマンリーまで出かけました. 良かったですよぅ! 良く晴れた日の午後, 家族連れや観光客でごった返す浜辺は大変良い感じでした.
《4月24日金曜日》
3日目の金曜日は, 朝6時20分に加藤さんと待ち合わせ, 車をキャンベラに運び出す覚悟で背水の陣でホテルもチェックアウトをしてしまいました.
7時の港のアポに, 検査担当者は1時間近く遅刻し, 車のボンネットとトランクを一通り眺めるとハイ OK, 4枚つづりの3枚目を渡してお金を払い
(60ドルくらいだったかな?)キーを受け取りそのまま外界へと放免されました. この時点では, もちろんナンバープレートなし,
自賠責の保険すらなしの状態です.
おっソロしかったです, これでシティを走るのは. 事故ったら一巻の終わりですから. この後, 運輸局でキャンベラまでの仮走行証を出してもらう為に, 修理屋さんに roadworthy の証明書であるピンクスリップを出してもらわなければなりません. ガレージ探しに町を探し回りました. 土地勘のある加藤さんの後ろについて走ったのですが, ガレージはなかなか見つからず, 時間はどんどん過ぎていき焦りました, 焦りました. やっと見つけても, 「今週は予約でいっぱいさ」とかいわれてまた次を探しました. 3件目でしたでしょうか, 「2時間後だったらやってあげてもいいよ」と言うところがあったのは. 藁にもすがる思いで待ちました.
ここで, 加藤さんは用事があって時間切れ. 午前11時過ぎ, 彼と別れて私と子供は, 知らない町に二人残されました. とても心細かったですが, 弱気なことも言ってられないので, 車屋さんに修理代200ドルほどを支払い, ピンクスリップを貰ってアッシュフィールドの運輸局の場所を教えてもらってそちらに向かいました. この時点で午後2時が近づいていました.
運輸局のお姉さんの目が恐ろしかったなあ. 「走行許可証が出なかったらどうしよう」とビクビクしていたせいかもしれませんが. 「いいわ. 出してあげる. 何日間必要なの?」と言われ, 何とほっとしたことか. 1週間の期限のシドニーキャンベラ間仮走行証 temporary permit を出してもらい, 午後3時前, キャンベラへの帰途に着いたのでした.
シドニーの街中を抜ければ, 道はほとんど直線で首都キャンベラへ向かうので, 平均時速100キロほどで飛ばして帰りました. アパートにたどり着いたのは午後7時前でした. ここで一件落着!と行きたいところなのですが, まだまだ続きはあります.
July 17,2000
2. 登録編
1週間しか走行許可証がないので, 早いとこキャンベラで車の登録をしてナンバープレートを貰わなくてはなりません.
週明けにすぐディクソン地区の登録所 Motor Registry に向かいました. 検査に30ドル払い, ACT
の基準に合格しなくてはならないのですが, これも一筋縄では行きませんでした. 「あれもだめ, これもだめ」といろいろ5・6個所文句をつけられ,
結局いくつかはおまけしてもらって(1)子供のカーシート用の止め具をつけ, (2)給油口を無鉛用に付け替えよ, と言う指令が下りました. そうなんです,
オーストラリアはまだ有鉛ガソリンも販売しているので, 無鉛ガソリンしかない日本用の給油口では,
口が大きすぎてスタンドで有鉛のガソリンも給油できてしまうからダメ, 口の小さい無鉛専用のに取り替えてこい, と言うわけです.
「ガソリンを入れるのはいつも私だから, 間違えることはない」と反論したのですが, 受け付けてくれません. おまけに,
(1)と(2)の修理はそれぞれ100ドル, 150ドルほどかかり, 同じ修理所ではできない, とのことです. 2箇所別々のところにアポを取り,
3日ほどかかりました.
これで登録させてくれると思ったら, まだまだです. 今度は, オーストラリア仕様の車体番号を取得しなくてはなりません. Motor Registry でくれる書類と, 4枚つづりの最後の書類を入れて, ヴィクトリア州の専門会社に車体番号のプレート注文をしなくてはなりません. これは Compliance Plate と呼ばれる輸入車専用の数字の入った小さな金属片で, ボンネットにリペットで取り付けます. 40ドル弱の小切手とともに郵送し, 届くのに2週間ほどかかります.
この間はもちろんナンバープレートなしで, 1週間毎に走行証を延長してもらいながら(1週16ドル×3回分)待ちました. ナンバープレートがないので, 人々の視線が気になりますし, 警察にも呼び止められます. 別にヤマシイところがあるわけではないのに, 妙に小さくなっていました.
そして, ACT に車が到着して約3週間後, 車体番号プレートを取り付け, やっと登録ができたのです. 一年間の登録料(自賠責も含む, 600ドルほど)+税金(90ドル)+ナンバープレート代(50ドル)で, 計700ドル以上かかりました. ナンバープレートは日本基準にはあわず幅が広すぎて, またしても車屋さんに頼んで端を金属バサミでカットしてもらわないと入りませんでした.
こうしてやっと人並みに車に乗れるようになりました. 愛車が日本を出て約2ヶ月の後のことです. イやアー, 大変だった. KAZU さんと同感です. 2度と車の個人輸入はしたくありません!輸入にかかった金額ですかあ...そうですねえ, 送料やシドニー滞在費, 関税, 各種手数料, サポート代, 登録料合わせて4200ドルほどですか. 苦労代は入っていません, もちろん. 手間だけではなくて, 全体像の見えない中で太刀打ちしていくのは精神的に大変疲れます. なんてったって「外国車はオーストラリアに入れたくない. 絶対邪魔してやるぞう!」の態度が見え見えなので, いちいち足を引っ掛けるハードルを越えさせられてイライラしました.
現在うちの愛車シビック君は9年ものです. 状態も良好なのでこちらの市場価格からしたら, 結構価値としては1万ドルは行くかもしれません... が, もちろん売りはしません. 壊れるまで乗り倒しますとも!! こんなに苦労して輸入したのですから. (PS 個人輸入車は, 前述の車体番号からして他の普通の車とは扱いが違うので, 自分で乗る場合は問題ないですが, 売却するのはしにくいかもしれません. 強制の自賠責以外の自動車保険には, 非常に入りにくいと聞きますから)
July 17,2000